アボット、国内初となる「デバイス抜去専用カテーテル」を備えたリードレスペースメーカ「アヴェイル™ VR LP」の製造販売承認を取得

従来型ペースメーカ(写真左)とアヴェイル™ VR LP(写真右)

心臓は、右心房にある洞結節が興奮することで電気信号を発生させ、その電気信号が心臓全体の筋肉に伝わることで、規則的な収縮を繰り返し全身に血液を送り出しています。不整脈は、この電気信号が正常に伝わらず、心臓のリズムが乱れた結果、心臓から送り出す血液の量が足りなくなる状態で、最悪の場合には心不全などを引き起こし死に至ります。不整脈は、心臓の脈拍が遅くなる「徐脈性」と早くなる「頻脈性」に分けられます。徐脈性不整脈に対する唯一確立された治療法は、ペースメーカの植込みで2、日本では毎年約4.5万人3の患者さんがペースメーカによる治療を開始しています。

 

従来のペースメーカは、リードと呼ばれる電極を静脈から挿入し心筋に固定し、前胸部皮下のポケットと呼ばれる部位に留置したペースメーカ本体と接続させます(下図左)。しかし、ペースメーカの合併症の多くは感染症で、リードあるいは皮下ポケットに関連し、その発症率はそれぞれ植込み後5年で8%、11%4と報告されています。アヴェイル VRは、電極が一体型になっており、カテーテルを用いて右心室内に留置します(下図右)。アヴェイル VRの安全性および有効性の評価を目的とした国際臨床試験 The LEADLESS II Study フェーズ2試験において、6週時の機器関連有害事象非発生率は96.0%と、高い安全性を示しました5。また、アヴェイル VRは、独自のプレマッピング機能を備えており、留置前に正しい留置位置を評価することが可能で、同臨床試験において留置が成功した83.2%の症例で、再留置が必要ありませんでした5。電池寿命についても、国際標準化機構(ISO)の標準規格設定において10年超と予測されています1。更に、アヴェイル VRを使用している患者さんに電池交換や治療変更の必要性が生じた場合、「デバイス抜去専用カテーテル」を用いて、植込まれているアヴェイル VRを摘出する選択が可能です。

日本医科大学大学院医学系研究科 循環器内科学分野 教授の清水 渉 医師は、「ペースメーカは、徐脈性不整脈に対する確立した治療ですが、リード線やポケットに関連する感染症が課題でした。一方で、構造的にこれらの感染症を改善するリードレスペースメーカは、電池寿命が短く機器交換の際に古いデバイスを取り出せない等の特徴から、対象を高齢者に絞る傾向がありました。従来のペースメーカと同程度の電池寿命を有し、抜去用カテーテルを備えたアヴェイル VRの登場により、リードレスが今後より多くの患者さんのQOL向上に繋がる事を期待しています。」

この承認は、特定の不整脈患者を対象に実施された海外臨床試験The LEADLESS II studyフェーズ1試験、フェーズ2試験及び、国内臨床試験 The LEADLESS Japan試験のデータによって裏付けられています。

* 国内におけるアヴェイル VRの使用については、日本不整脈心電学会が定めた基準を遵守する必要があります。

  1. Aveir™ VR Leadless Pacemaker and Delivery Catheter IFU. ARTEN600175956
  2. 不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)
  3. 日本不整脈デバイス工業会 2022年ペースメーカ市場調査 2021_pm.pdf (jadia.or.jp)
  4. Udo EO, Zuithoff NP, van Hemel NM, et al. Incidence and predictors of short- and long-term complications in pacemaker therapy: the FOLLOWPACE study. Heart Rhythm 2012; 9: 728–735. PMID:22182495
  5. Reddy, VY et al.Primary Results on Safety and Efficacy from the LEADLESS II-Phase 2 Worldwide Clinical Trial, JACC: Clinical Electrophysiology, 2021, ISSN 2405-500X, https://doi.org/10.1016/j.jacep.2021.11.002

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