不屈の精神を鍛える

アボットの専門家が、ストレス下において精神力を養うための4つのコツをご紹介します。

※本コラムは、米国で2019年に作成された原稿を参考までに日本語訳しています。内容については英語原文が優先されます。医学的な情報を提供したり、製品を広告・宣伝する目的のものではありません。

ランニングは体力と同じだけの不屈の精神を必要とします。トレーニングや栄養補給に始まり、ペース配分や自らを鼓舞するところまで、常に舵取りを任されているのが脳です。

しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、多くの人の脳が最強の状態ではないと、アボットの診断薬・機器事業部のメディカルディレクターで、神経科医、医師、登録栄養士でもある Beth McQuiston(RD, MD)は言います。

McQuistonによれば、隔離生活やソーシャルディスタンスから起こり得る孤独感は、健全な認知力や機能に大きな影響を与えます。直接対面することがなくなることによって、セロトニン(幸福感を司る化学物質)やドーパミンなど、脳内の「心地良さ」に関わる神経伝達物質量が低下します。過度のストレスがかかると体内では血圧が上昇し、血小板凝集が促進されます。こうした変化によって脳卒中や心臓発作のリスクが高まる場合があります。

このほかにも、社会的な孤立は(闘争・逃走反応を引き起こすことで知られる)交感神経系を活発化させるとMcQuistonは説明します。こうした交感神経系の活発化が炎症に拍車をかけたり、睡眠の質を低下させる原因となり、どちらも脳と心血管の老化の加速に関係しています。当然のことながら、これらはすべて、運動かそれ以外かに関わらず、パフォーマンス低下の前触れです。

では、現在のようなストレスに満ちた時期に、最善の身体状態で機能できる心の余裕を持つにはどうしたらよいでしょうか。

アボットの専門家が、ストレスの多い環境下で不屈の精神を養うための4つの大切な方法をご紹介します。

1. 定期的な運動

運動は神経系の健康状態に左右されますが、同時に神経系の健康を促進します。

「運動により、ストレスに効果的に対処できます。コルチゾールやアドレナリンが低下し、青斑核に影響を与えることによって、ストレスに対する情緒反応が制御されます。つまり、運動は体の緊急通報反応システムを改善します。実際の緊急事態に対処できるよう体の準備を整え、ストレスの負の影響を抑えます」、とMcQuistonは説明しています。

運動には学習と記憶を司る脳の海馬を増大させる作用があることも長年の研究からわかってきています。

現在のストレスに対応し、極度の疲労を防ぐためには、活動量を増やすことが最も効果的です。もしかしたら、今は無理に自己ベストを目指したり、新たな健康に関する偉業を打ち立てる時ではないかもしれません。それよりも、飼い犬と散歩したり、子どもと自転車に乗ったり、何でもかまわないので昨日より心地良くいられることをやってみましょう。

2. トレーニングを思い出す

アスリートとして、あなたは精神力を鍛える準備ができていることでしょう。

スポーツ栄養士で、24回のマラソン参加経験もあるアボットのNutrition Scientific and Medical Affairsチームの Pamela Nisevich Bede(RD)は次のように説明します。「マラソンのトレーニングや競技では、地形が変わり、景色が変わり、ペースが変わる中で常に精神的な強さを必要とします。そして頭の中にゴールを思い描きます。過去に困難を乗り越えた経験があるなら、これも乗り越えることができます」

過去の挑戦や、それを努力や忍耐力で乗り越えてきた自分の力を思い返すことで、目の前のことを最後までやり抜く支えになります。「私も実際にこの方法に助けられました」と、Nisevich Bedeは締めくくっています。

3. 健康的な食生活

「人は食べるものによって左右されます。脳も文字通り、食べるものでできています」と、McQuistonは述べています。

McQuistonは、例えば脳内の脂質は、飽和脂質であれ、加工された脂質であれ、あるいは農産物や魚から作られたオメガ3脂肪酸を豊富に含む脂質であれ、食事から摂取した脂質から作られると説明します。その一方で、腸のマイクロバイオームは、神経、認知機能に影響を与えます。脳腸相関として知られる作用です。

緑黄色野菜や、ギリシャヨーグルト、紅茶キノコなどの発酵食品は、腸のマイクロバイオームにとって、そして脳にとっても特に有益です。

4. つながりを探す

孤独感の負の影響を最も直接的に防御する方法とは何か。それは、社会的つながりです。社会的つながりは、ランナーのような個人競技のアスリートにとって特に大切なものでもあります。

「多くのランナーの皆さんが、自分専用のトレーニング場所や自分だけの時間が欲しいと考えていると思います。あったらいいですよね。1日中周りに誰かがいる時には、これらはストレスに対処したり、人と離れたりするための対処メカニズムになります。ですがもし今、1日中、もしくは1日の大半を1人で過ごしているのであれば、それはむしろ大きなダメージになります」と、McQuistonは述べています。

ソーシャルディスタンスを取っている間は、アスリートは、たとえ対面でなくとも、他のランナーとのつながりを探すべきだと、McQuistonは勧めています。友人や家族と連絡を取って自分のランニングプランを話したり、アプリを活用して誰かと仮想ランニングを楽しんだりしてみてください。

「これまでとまったく同じとは言えませんが、間違いなく良い方法です。きっと気持ちが軽くなるはずです」と、McQuistonは言います。

アボットは、世界最大規模で、最も有名な6大マラソン大会(東京マラソン、ボストンマラソン、Virgin Money ロンドンマラソン、BMWベルリンマラソン、Bank of Americaシカゴマラソン、TCSニューヨークシティマラソン)で構成される「アボット・ワールドマラソンメジャーズ」のタイトルスポンサーです。