アボット、最新世代のTAVI「Navitor™ 経カテーテル生体弁システム」日本での製造販売承認を取得  

  • 心臓弁膜症に対する新しい経皮的大動脈弁留置術(TAVI)用のシステムは、アボットがこれまで構造的心疾患領域において築いてきた技術に基づいて設計されました。
  • Navitor 経カテーテル生体弁システムは、最適な血行動態の実現と弁周囲逆流(PVL)の軽減に貢献するようデザインされ、将来の心血管インターベンションとの適合性を有しています。
  • デリバリーシステムは、優れた到達性と正確な生体弁の留置を可能にし、血管径が小さいなど複雑な大動脈の構造を持つ患者さんの治療を可能にします。

2022年1月19日―アボットメディカルジャパン合同会社(本社: 東京都港区、代表執行役員社長 ブライアン・モットーラ)は、2022年1月17日に、自己大動脈弁弁尖の硬化変性に起因する症候性の重度の大動脈弁狭窄を有しかつ外科的手術を施行することができない患者さんを対象とした最新世代の経皮的大動脈弁留置術(TAVI)用の「Navitor™ 経カテーテル生体弁システム」(以下Navitor システム)について、製造販売承認を厚生労働省より取得しました。アボットの包括的な構造的心疾患の経皮的治療ポートフォリオにNavitorシステムという新たな製品を加え、日本のTAVI市場へ参入します。

 

Navitor 経カテーテル生体弁システムの構成品である生体弁(右上)と、デリバリーシステム(下)

大動脈弁狭窄症は、最も一般的で深刻な心臓弁膜症の1つで、大動脈弁の開口部が狭くなり、左心室から大動脈への酸素を含んだ血液の流れが抑制されてしまう状態です。大動脈弁狭窄症は、心不全を引き起こし、症状が進行すると突然死に至る場合もあります1。重度の大動脈弁狭窄症患者さんに、年齢や虚弱、その他の複数の基礎疾患等に起因する潜在的な合併症がある場合、開胸手術はリスクの高い治療と判断されることがあります2。TAVIは、開胸手術に代表される外科的大動脈弁置換術の代替えとなる侵襲性の低い治療で、大動脈狭窄症の症状を軽減し、衰弱してしまった患者さんの状態や生活の質を改善することが期待されます。

Navitorシステムの主な特徴
優れた血行動態:TAVIとして唯一の自己弁輪の内側に留置するタイプの自己拡張弁で、留置後速やかに拡張し、最適な血行動態の実現に貢献します。

PVLの抑制:Navitorの外側下部を覆っているカフ(NaviSeal™)が拍動と弁輪の動きに同調し、TAVI治療後の代表的な合併症である弁周囲逆流(PVL)を軽減します。

冠動脈アクセスを維持:大きく設計されたセルフレームと、生体弁自体を自己弁輪の内側に留置することで、将来の冠動脈の治療介入のためのアクセスを維持します。

困難な症例への適応:高い柔軟性を有し、摩擦抵抗の少ないデリバリーシステム(FlexNav)が、血管径が小さく、石灰化等により難しい血管構造を持つ患者さんにおいても、妥協することのない正確な生体弁の留置を提供します。

大阪警察病院 院長の澤 芳樹 医師は、次のように述べています。「Navitorのように自己弁輪の内側に留置する方式の自己拡張型TAVI弁はこれまでにない設計。新しいデリバリーシステムを兼ね備えた新世代のTAVIシステムは、今後TAVIの治療を改革し、国際的にも高い水準にある国内でのTAVI治療のアウトカムをさらに改善させる可能性がある。新たな選択肢として日本人での有効性も検証していきつつ、この製品によって既存品では困難であった患者さんを救命していきたい。」

湘南鎌倉総合病院 総長の齋藤 滋 医師は、次のように述べています。「Navitorは、TAVI弁としてLow-profile*なデザインでありながらしっかりとした血行動態を臨床試験で実現している。日本人は欧米の患者にくらべて体格が小さく、TAVI弁の施術に困難を伴う患者も多い傾向にあるが、新しいデリバリーシステムは、これまで経大腿アプローチが難しかった日本の患者さんにまで幅広く対応できる可能性があり、今後の実臨床での活用に期待している。」

*Low-profile: より小径での手技が可能なデザイン

アボットについて

アボットは、人々が人生のあらゆるステージにおいて最高の人生を送ることができるようサポートするグローバルヘルスケアリーダーです。業界をリードする診断薬・機器、医療機器、栄養剤、およびブランド ジェネリック医薬品分野の事業および製品を含め、人々の生活に大きな影響をもたらす画期的なアボットの技術は、ヘルスケアの広範な領域にわたっています。現在、世界160カ国以上で、約109,000人の社員が活動しています。

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  2. BACH DS, SIAO D, GIRARD SE, DUVERNOY C, MCCALLISTER BD JR, GUALANO SK. EVALUATION OF PATIENTS WITH SEVERE SYMPTOMATIC AORTIC STENOSIS WHO DO NOT UNDERGO AORTIC VALVE REPLACEMENT: THE POTENTIAL ROLE OF SUBJECTIVELY OVERESTIMATED OPERATIVE RISK. CIRC CARDIOVASC QUAL OUTCOMES. 2009. NOVEMBER; 2 6: 533– 9