東京、2023年7月19 日 — アボットジャパン合同会社 (本社:東京都港区、代表執行役員社長:武知秀幸、以下「アボット」)は、一般社団法人日本糖尿病学会(所在地:東京都文京区、理事長:植木 浩二郎、以下「JDS」)と国立研究開発法人国立国際医療研究センター(所在地:東京都新宿区、理事長:國土 典宏、以下「NCGM」)が共同で立ち上げた「診療録直結型全国糖尿病データベース事業(英語名:Japan Diabetes compREhensive database project based on an Advanced electronic Medical record System、以下「J-DREAMS」)」に、FreeStyleリブレ®システムを用いて測定した持続グルコースデータの連携を開始したことをお知らせいたします。
国際糖尿病連合(IDF)によると、2021年の日本の糖尿病有病者数は1,100万人と推計されています。糖尿病の高い有病率は、ライフスタイルの変化と寿命の延伸に起因していると言われており、重大な経済的負担につながります2。
さらに日本における糖尿病の経済への影響は甚大で、2018年度の糖尿病医療費は1兆2,100億円に達し、日本の総医療費の2.8%に達しました。未治療の患者、治療の中断、および糖尿病合併症の治療費は、医療費の高騰の一因となっています3。
数日間にわたる血糖変動の傾向をみることができる持続グルコースモニタリングシステム(以下「CGM」)、FreeStyleリブレ®4システムで測定したデータをJ-DREAMSと連携することにより、医師や研究者は、糖尿病の日々の診療や長期にわたる研究の際、CGMで測定したグルコースデータを他の医療情報とともに利用することが可能になります。
アボットは、情報の共有に同意したFreeStyleリブレ®システムのユーザーのグルコースデータを、NCGMが管理する安全なクラウドサーバーに転送することにより、NCGMにおけるJ-DREAMSデータベースへのグルコースデータ連携をサポートします。FreeStyleリブレで測定されたデータは、TIR(Time in Range:血糖値が目標範囲内に収まっている時間が 1 日のうち 何パーセントを占めるかを示した数値)やAGP(Ambulatory Glucose Profile: 連続して測定・記録された血糖値や間質液中グルコース値を集約し、その傾向を視覚的に把握しやすくした解析方法)などの情報を含むレポート形式で電子カルテ情報を補完します。
J-DREAMSデータベースへの電子カルテ情報の共有に同意している患者さんについて、医師はより包括的な医療情報を電子カルテ上で得ることが可能になります。
電子カルテシステムでのAGPレポートイメージ
国立国際医療研究センター(NCGM) 糖尿病情報センター長であり、J-DREAMSの研究代表でもある大杉 満医師は、次のように述べています。「日本人の糖尿病患者さんのグルコースデータを評価、解釈する際、国外と同じ基準や方法が常にそのまま使えるわけではありません。たとえばCGMの評価指標の1つであるTIRの国外で設定された目標値は、日本人の患者さんにおける適切な目標値とは異なっている可能性があることが指摘されてきました。そのためCGMで測定した日本人のグルコースデータが連携されることは非常に意味があります。FreeStyleリブレデータを連携することで、J-DREAMS はこれまで以上に日本の糖尿病診療の質の向上および有効な予防法の確立に貢献できると考えています」
アボットジャパン合同会社ダイアベティスケア事業部のゼネラルマネージャー、キャロライン・ジョンソンは次のように述べています。「J-DREAMSという、糖尿病の包括的なデータベースを構築するプロジェクトには大きな可能性があります。この取り組みは、今後数年間で、糖尿病の研究と治療に大きな革新をもたらしてくれると信じています。糖尿病は、全ての家族に影響を与えると言える個人的な疾患で、私たちの多くは、愛する人々の中に糖尿病と共に生きる人がいます。研究者や医師が、より包括的なデータを見ることが可能になることで、すべての人の病態や状況を考慮した、より個別化された治療が可能になることを願っています」
J-DREAMS研究への参加を検討されている医療施設の方は、こちらをご覧ください(https://jdreams.jp/)。
J-DREAMSについて
J-DREAMSは、 2014年度から厚生労働省科学研究費事業として開始した、NCGMとJDSが共同で設立・運営する糖尿病の大規模データベースです。
従来の研究では、データベース作成のために別途データを入力し直す必要がありましたが、J-DREAMSでは、「糖尿病標準診療テンプレート」と呼ばれる入力画面を電子カルテの一部として作成、糖尿病を担当する診療科の医師は診療録の一部としてその入力画面に入力を行います。入力されたデータは個人情報を匿名化した上で、NCGM内に設置された糖尿病クラウドセンターに自動的に蓄積されます。そのため、通常診療の診療録記載以外に入力し直す必要がなく、データベースを効率的に作成することができます。さらに、「糖尿病標準診療テンプレート」を用いることで、個々の患者さんの検査情報や薬剤情報のみならず、合併症情報も一括で取り込み、比較検討することができるようになっています。また標準化されたカルテを用いることによって、糖尿病診療の質の改善も期待できます。J-DREAMSには2023年5月時点で70施設が参加しており、94,000人以上の患者さんが登録、糖尿病の研究のために医療情報を共有されています。
統合されたデータベースは、複数の施設や全国規模の研究での利用も可能です。
J-DREAMSの詳細と参加の方法については、こちらをご覧ください(https://jdreams.jp/)。
FreeStyleリブレについて
アボットのFreeStyleリブレは、持続グルコース測定技術を用いた世界をリードするデバイスであり5、60カ国以上で450万人以上の人々に使用されています6。FreeStyleリブレは上腕の後ろ側に専用のセンサーを装着し、スマートフォンあるいは専用のリーダーをセンサーにかざすと、その画面に測定値が表示されます。衣服の上からも読み取ることができ、1つのセンサーで最長14日間の血糖変動を記録できます。FreeStyleリブレLinkアプリを使用すれば、お持ちのスマートフォンで迅速かつさりげなくセンサーを読み取ることが可能です。また、糖尿病を有する方々は自身の血糖データをリブレViewを介して医師と共有することができます。
FreeStyleリブレは、日本では2016年5月に製造販売承認を取得し、2017年1月に発売されました。FreeStyleリブレは、1型・2型等の病型を問わずインスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っている入院中以外の患者さんに、C150 血糖自己測定器加算 7.「間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの」が適用されます。
アボットについて
アボットは、人々が人生のあらゆるステージにおいて最高の人生を送ることができるようサポートするグローバルヘルスケアリーダーです。業界をリードする診断薬・機器、医療機器、栄養剤、およびブランド ジェネリック医薬品分野の事業および製品を含め、人々の生活に大きな影響をもたらす画期的なアボットの技術は、ヘルスケアの広範な領域にわたっています。現在、世界160カ国以上で、約11万5,000人の社員が活動しています。
アボット(www.abbott.com)、アボットジャパン(www.abbott.co.jp)、リンクトイン(www.linkedin.com/company/abbott-/)、フェイスブック(www.facebook.com/Abbott)、ツイッター(@AbbottNews)も合わせてご参照ください。
12014年度から厚生労働省科学研究費事業として開始した、NCGMとJDSが共同で設立・運営する糖尿病の大規模データベース
2Diabetes in Western Pacific. International Diabetes Federation. 2021. Available at: https://diabetesatlas.org/idfawp/resource-files/2021/11/IDF-Atlas-Factsheet-2021_WP.pdf. Accessed on: 30 August 2022.
3厚生労働省 平成30年度 国民医療費の概況
4医療機器承認番号:22800BZX00212000
5アボット調べ
6アボット調べ
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