※本資料は、アボットが2023年11月13日に米国本社にて発表したプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。
※日本での使用方法は添付文書をご確認ください。
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/530100/530100_23100BZI00006000_A_01_03.pdf
※今回のARIES HeartMate 3臨床試験は米国食品医薬品局(FDA)によってまだレビューされていません。また現時点で、試験で行われた抗凝固療法に関連する使用方法の変更はFDAによって承認されていません。
2023年11月13日 — アボット(米国イリノイ州アボットパーク)は、植込み型補助人工心臓HeartMate 3™を使用して生活している重症心不全患者さんが、植込み手術後の血液の血栓形成を予防する治療法の一環としてアスピリンを服用しない場合、出血による合併症が少なく、アスピリンを毎日服用した患者さんと比較して入院回数が減少したという最新データを発表しました。ARIES試験のデータは、医師が植込み型補助人工心臓HeartMate 3を使用している患者さんを管理する方法に変化をもたらす可能性を初めて示したものです。ARIESは、アスピリンを使用しないことが安全であり、植込み型補助人工心臓HeartMate 3(LVADまたは人工心臓)を使用する人々で出血を減少させるかどうかを評価するための、初めての国際的、かつプラシーボ対象の無作為化比較臨床試験です。
このデータは、2023年のアメリカ心臓病学会(AHA)の学術セッションの最新の発表として紹介され、同時にアメリカ医学会ジャーナル(Journal of the American Medical Association)に掲載されました。
植込み型補助人工心臓患者さんはアスピリン不使用の治療法により恩恵
ARIES試験は600人以上の患者さんを対象に行われ、HeartMate 3患者さんがアスピリンを使用せずに補助人工心臓植込み後に術後標準のビタミンK拮抗薬(VKA)治療法を継続した場合、アスピリン不使用がアスピリン使用に対して非劣勢であることを主要評価項目で示しました。アスピリンを使用しなかったHeartMate 3患者さんは、アスピリンを毎日服用し続けた患者と比較して、出血事象がほぼ40%減少し、入院日数が47%減少しました。
HeartMate 3は、前世代の植込み型補助人工心臓と比較して合併症の発生率が低い1とされていますが、出血は引き続き再入院の主な原因となっています。ARIES試験は、アスピリンを服用しない患者さんの出血事象の減少を示し、今後HeartMate 3を使用する患者さんの管理に重要な変更をもたらす可能性があります。
「ARIES試験は、重症心不全患者さんの治療を前進させました。アスピリンを使用しないという単純な決断によって、出血事象の顕著な改善、使用される医療資源とコストの削減をもたらします」とマンディープ・R・メラ先生(ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 重症心臓病センター エグゼクティブディレクターおよびウィリアム・ハーヴェイ名誉教授、マサチューセッツ州ボストン)は述べています。「このデータは非常に説得力があり、アスピリンの使用を避けることで得られる利益の大きさは、市場に新しい製品を導入する影響と同等です」。
アスピリン不使用の抗血栓療法がHeartMate 3患者さんのコストを削減
出血および出血性合併症による入院の減少を示しただけでなく、ARIES試験は、アボットの植込み型補助人工心臓HeartMate 3を植え込んだ後にアスピリンを服用しなかった心不全患者さんのコスト削減も明らかにしました。植込み型補助人工心臓を植え込んでから1年後、出血に関連する推定コストが41%減少しました。また、このグループで血栓(脳卒中のリスクを高める血液の塊)を発症するリスクが上昇しないことも判明しました。
「医学界では、LVADを使用して生活している心不全患者さんの治療法としてアスピリンが必須であるという一般的な合意がありますが、これらの仮定は主に観察データに基づいており、ほとんど疑われることはありませんでした」とロバート・コーモス(アボット ハートフェイリヤー事業部、グローバルメディカルアフェアーズ部門バイスプレジデント)は述べています。「ARIES試験の推計によれば、アスピリンを服用しないことで、HeartMate 3を使用している患者さん100人あたり、使用開始後の最初の1年間に約15件の重大な出血事象を防ぐことができます。それは、これらの患者さんが大切な人たちとより多くの時間を過ごし、より充実した人生を送れることを意味します」。
ARIES試験について
ARIES試験は、アボットの植込み型補助人工心臓HeartMate 3を使用する重症心不全患者さんにおいて、VKA療法に加えてアスピリン(1日100mg)を服用した群と、VKA療法に加えてプラセボを服用した群とを比較した国際的なランダム化試験です。この試験は2020年7月から 2022年9月の期間、51の医療機関で行われ、アメリカ合衆国、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、オーストリア、チェコ共和国、カザフスタン、オーストラリアの600人以上の患者さんが参加しました。ARIESは、HeartMate 3を使用する患者において、アスピリン不使用の治療法がアスピリンを含む抗血栓療法に劣らないことを示す主要評価項目を達成しました。この試験は、重症心不全の人々の生活をさらに向上させるためのアボットの心不全および臨床科学イノベーションへの継続的な投資の一環です。
「アボットは、植込み型補助人工心臓治療を受ける基準を満たす年間何千人もの患者さんの、治療成績を向上させることに投資を集中しています」とキース・ボーティガー(アボット ハートフェイリヤー事業部バイスプレジデント)は述べています。さらに、ボーティガーは、「我々がARIES試験で特定した新たな治療アプローチによって、医師は患者の出血リスクを減らし、より多くの患者さんがこの命を救う医療機器の恩恵を受けられるよう検討することができます」と続けています。
適応症および重要な安全情報:
植込み型補助人工心臓HeartMate 3は、適切な体格を持つ成人および小児の難治性重症心不全患者における短期および長期の機械的補助循環(例:移植への橋渡しや心筋回復、またはディスティネーションセラピー)を提供するために適応されています。抗凝固療法に耐えられない、または同療法にアレルギーがある患者さんには使用できません。
アボットのHeartMate 3に関する米国の追加の重要な安全情報については、以下をご覧ください:HeartMate 3 LVAD Indications, Safety and Warnings | Abbott (cardiovascular.abbott)
ARIES HeartMate 3臨床試験では、患者管理に対する新たな臨床アプローチが評価されましたが、これは米国食品医薬品局(FDA)によってまだレビューされていません。現時点では、試験で行われた抗凝固療法に関連する使用方法の変更はFDAによって承認されていません。
アボットについて
アボットは、人々が人生のあらゆるステージにおいて最高の人生を送ることができるようサポートするグローバルヘルスケアリーダーです。業界をリードする診断薬・機器、医療機器、栄養剤、およびブランド ジェネリック医薬品分野の事業および製品を含め、人々の生活に大きな影響をもたらす画期的なアボットの技術は、ヘルスケアの広範な領域にわたっています。現在、世界160カ国以上で、約115,000人の社員が活動しています。
アボット(www.abbott.com)、アボットジャパン(www.abbott.co.jp)、リンクトイン(www.linkedin.com/company/abbott-/)、フェイスブック(www.facebook.com/Abbott)、ツイッター(@AbbottNews)も合わせてご参照ください。
1 Mehra M, et al. New England Journal of Medicine. 2019; 380:1618-1627
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