パーキンソン病は、進行性の疾患です。発症から3-5年で薬物療法による効果が徐々に低下し、ジスキネジアという自分では止められない振戦が徐々に現れます。ジスキネジアにより日常生活に支障が生じてくると、症状をコントロールする治療の一つに、DBSがあります。しかし、DBSの治療が行える認定医は、脳神経外科医の約3%1と限定的で、患者さんは遠方から通院しているケースも多く、パーキンソン病の症状の特性から通院には家族や介護者の支援が必要です。
NeuroSphere VCによりDBS治療を行う専門医は、アプリのビデオ通話機能を通して患者さんの症状を確認し、調整した電気刺激プログラムをインターネット経由で患者さんに送信することができます。患者さんは、スマートフォンによって受診した電気刺激プログラムをBluetoothによって体内に植込まれている刺激装置と通信させ、パーキンソン病症状をコントロールすることができます。さらに、これまで対面診療で行われてきた、機器チェックも遠隔で行うことが可能です。通信トラブルに対しても、通信障害発生時にはリカバリプログラムが作動し最後に使用していたプログラムに自動設定されます。NeuroSphere VCは、患者さんに質の高い治療を届け、通院の負担を軽減させることが期待されます。
独立行政法人 国立病院機構 仙台西多賀病院 脳神経外科医長の永松謙一医師は、次のように述べています。「現在、DBS治療を提供できる医療機関は限られており、遠方在住のために術後の通院等が障壁となり治療を断念される患者さんも少なくありません。遠隔診療でのDBS治療プログラムの調整が可能となることで患者さんのみならず家族や介助者の方の負担が軽減され、生活の質の向上が期待されます。様々な事情で外出や外来受診が困難な場合にも、有用な解決策となるでしょう。」
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