アボットのMitraClip®、ランドマーク試験での薬物療法と の比較で、二次性僧帽弁閉鎖不全症を有する重度心不全患 者における優越性が認められる
- COAPT 試験は、2 年目全死因死亡率を含む安全性・有効性主要エンドポイントならびに副次 的エンドポイントを全て達成
-最新の成績がTCT学会とThe New England Journal of Medicine で同時発表
- COAPT試験で選択された、臨床的に重度の二次性僧帽弁閉鎖不全症を有する心不全患者にお いて、臨床転帰の改善が認められたことにより、これらの治療困難な患者の予後を改善する最 初で唯一の僧帽弁カテーテル治療であることを示唆
サンディエゴ 2018 年9 月23 日: アボット社(NYSE: ABT)は本日、MitraClip®による治療 と治療ガイドラインに基づく薬物療法を比較した、心不全の増悪により二次性(機能性)僧帽 弁閉鎖不全症(FMR)を有する選択患者におけるランダム化比較対照試験の良好な臨床試験結 果を発表しました。ランドマーク試験であるCOAPT 試験は安全性・有効性主要エンドポイン トならびに副次的エンドポイントを全て達成し、MitraClip と薬物療法の併用が、2 年目時点の 心不全による入院率の減少ならびに生存率の上昇において薬物療法のみと比較して優れている ことが示されました。これは、臨床的に重度のFMR を有する心不全患者を対象とした臨床試 験において良好な結果が認められた最初かつ唯一の僧帽弁カテーテル治療です。
このデータは、サンディエゴで開催された第30 回Transcatheter Cardiovascular Therapeutics (TCT)年次科学シンポジウムで発表され、また同時にThe New England Journal of Medicine に も掲載されました。COAPT 試験のデータは、MitraClip のFMR への適用拡大を米国FDA に申 請するために提出される予定です。
COAPT 試験の共同治験責任医師で、New York-Presbyterian/Columbia University Irving Medical Center 心血管研究・教育ディレクター兼コロンビア大学Vagelos College of Physicians and Surgeons 教授のGregg W. Stone 医師は、「待望のCOAPT 試験成績は非常に優れたもので、至 適薬物療法を受けても症状が改善されない臨床的に重度のFMRを有する心不全患者が MitraClip による治療の恩恵を受けることが認められました。これらの成績は、臨床現場での治 療を変革し、他の治療法では予後が極めて不良の患者、すなわち現時点では根本治療ができず 対症療法目的のみの薬物療法に依存するしかない患者を助ける可能性があります」と述べてい ます。
MitraClipは大腿静脈経由で心臓へ送達させることで、侵襲的な外科手術の必要なく僧帽弁を修復する医療機器です。僧帽弁の弁尖をクリップで挟んで血液の逆流を減少させ、心臓のポンプ機能を改善することで、症状が軽減され患者のQOLも改善されます。MitraClipは2013年に一次性(器質性)僧帽弁閉鎖不全症(DMR)を適応としてFDAに承認されました。DMRは、僧帽弁の構造の解剖学的欠陥により弁尖が適切に閉じなくなり血液が逆流することが原因で発生します。米国では75歳以上の約10人に1人、すなわち約400万人がMR(僧帽弁逆流症)に罹患しています。1,2,3,4
COAPT試験はFMR治療におけるMitraClipの使用を研究するものです。FMRは、主に心臓発作やその他の心不全症状によって左心室が損傷することにより僧帽弁が正常に機能しなくなる状態をいいます。MitraClipはDMR治療において既に10年の実績がありますが、ランダム化試験であるCOAPT試験の結果により、FMRに対しても治療選択肢となりうることを裏付けるデータがさらに加わりました。FMRは原疾患の心不全が原因ですが、MitraClipによる治療の恩恵を受けるであろうFMR患者は、加齢が主な原因のDMRの治療を現在受けている患者の2~3倍であると予測されています。5
心不全患者の左心室が拡張すると、僧帽弁の弁尖が正常に閉じなくなりFMRが発生する場合があります。6 重度のFMRは治療が困難で、予後不良を伴い、7 QOLの悪化、再入院頻度の増加、生存率の低下につながる恐れがあります。8,9 現在、FMR治療目的でFDA承認を受けている医療機器はありませんが、患者によっては、治療ガイドラインに基づく薬物療法と心臓再同期療法(CRT:右心室と左心室が同時に収縮するよう補正する心不全治療)によって症状が緩和できる場合もあります。10
臨床的に重度のFMRを有する心不全患者は、大部分が薬物療法のみを受けており、治療の選択肢はほとんどありません。11 COAPT試験は、薬物療法でも症状が改善しない、臨床的に重度のFMRを有する心不全患者に対するMitraClipの安全性および有効性を評価することを目的として実施されました。
COAPT試験の主要な成績:
これらの結果は、心臓のポンプ機能が低下する虚血性および非虚血性の心筋症患者、外科手術のリスクが高いおよび低い患者を含む、多くの患者サブグループにおける結果と共通するものでした。
アボットのストラクチュラルハート事業部チーフメディカルオフィサーのNeil Moatは、「アボットは、構造的心疾患患者さんにおける最も複雑な課題の数々に対し、低侵襲の治療法の開発をリードしてきました。COAPT試験の結果は、MitraClipによってさらに多くの心不全患者さんがより良く、より長く生きることができ、QOLと生存率のいずれにも影響を与える可能性を示すものです。MitraClipは既に、外科手術適応とならないDMR治療のゴールドスタンダードとなっていますが、心不全が原因のMRに対しても、患者さんの人生が変わるテクノロジーとなる確かな臨床成績を今回得ることができました。重度心不全の患者さん、ならびに患者さんの看護・介護に携わる方々にとっての希望となることと思います。」と述べています。
COAPT試験について
COAPT試験(Cardiovascular Outcomes Assessment of the MitraClip Percutaneous Therapy for Heart Failure Patients with Functional Mitral Regurgitation:機能性僧帽弁閉鎖不全症患者におけるMitraClip経皮的治療の心血管転帰の評価)では、米国およびカナダの78施設の中等度~重度または重度のFMRを有する心不全患者614名を、MitraClip留置と治療ガイドラインに基づく薬物療法を併用する治療群と、ガイドラインに基づく薬物療法のみを受ける対照群に無作為割り付けしました。適格被験者は、左心室から送出される血液量が減少した拡張型心筋症を有し、かつ、最大耐用量の薬物療法および心臓再同期療法(実施した場合)でも症状が改善せず、米国心エコー学会ガイドラインに基づくMR重症度が中等度~重度または重度でした。9,12 被験者の平均年齢は72.2歳、男性の割合は64.0%でした。主要有効性エンドポイントは、2年目までの全ての心不全による入院、主要安全性エンドポイントは、性能目標88.0%と比較した1年目の機器関連合併症回避率でした。副次的エンドポイントは、2年目の全死因死亡率、1年目のQOLの変化、1年目の機能的能力(6分間歩行距離)の変化、1年目のMR重症度、1年目の左室サイズでした。
MitraClipについて
MitraClipは、2008年に欧州でCEマークを取得後、2013年に米国で開胸手術の適応とならないDMR患者の治療に対してFDAの承認を取得しています。カテーテルベースの低侵襲なデバイスで、カテーテル先端にあるクリップで僧帽弁の弁尖を留め、逆流を軽減することにより重度のMR症状を改善し、患者の生活の質(QOL)の改善が期待されます。 MR患者は、高齢、虚弱、複数の併存疾患、その他の複合的な要因によって、標準治療である外科手術が適応とならない場合が多いため、MitraClipによる治療は低侵襲の代替的治療選択肢となります。この経カテーテルクリップ留置術は、現在は3世代まで製品の改良を重ねており、過去10年間に世界中の約7万人のMR患者さんの治療に使用されてきました。 MitraClipおよびCOAPT試験の詳細については、www.coapttrial.com.をご参照下さい。 米国内におけるMitraClipの重要安全性情報については以下のリンクをご参照下さい。http://mitraclippossibilities.com/#isi-sec.
臨床的に重度のFMR治療における米国内でのMitraClipの使用は現在治験中であり、FMRへの適応についはFDA未承認です。米国内におけるDMR治療へのMitraClip適応は2013年に承認されています。
アボットについて
アボットは、健康の力を通して人々が最高の人生を送ることができるよう注力するグローバルヘルスケア企業です。125年以上にわたり、栄養剤、診断薬・機器、医療機器およびブランド ジェネリック医薬品分野で、人生のあらゆるステージにおいて、健康が持つ可能性を実現するため、新たな製品・技術を提供してまいりました。現在、世界150カ国以上、約94,000人の社員が、人々が健康で長く充実した人生を送ることができるよう活動しています。
アボット(www.abbott.com)、アボットジャパン(www.abbott.co.jp)、アボット ダイアベティスケア()http://jp.abbott-diabetescare.com ) 、アボット ダイアベティフェイスブック(www.facebook.com/Abbott)、ツイッター(@AbbottNews @AbbottGlobal)も合わせてご参照ください。
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