アボットが国内初の拡張型PAD用OMNILINK ELITE®、日本で発売開始

  • 腸骨動脈疾患治療用ステントシステムとして国内初のコバルト クロム合金を採用
  • ステントデザインには高い実績を持つAbbottのマルチリンク パターンを継承
  • Abbott社が末梢動脈疾患治療領域の革新的血管内治療機器を展開

2014年4月1日 アボット バスキュラー ジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:マシュー・シュミット)は、腸骨動脈疾患治療を適応としたOmnilink Elite® バルーンエクスパンダブル ステントシステム(販売名:Omnilink Elite バスキュラーステント、医療機器承認番号:22600BZX00078000、以下「Omnilink Elite」)の日本国内での発売開始を発表しました。

腸骨動脈疾患は、下肢に影響を及ぼす末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease; PAD)のひとつです。PADは足の血管に動脈硬化が起こる疾患で、ゆっくり時間をかけて進行し、進行すると歩行時に慢性的な痛みを伴い、さらに悪化すると重症虚血肢や、切断など重症化し、患者のQOL(生活の質)を永久的に著しく低下させてしまうことがあります。

Omnilink Eliteはバルーン拡張型のステントシステムで、ステントデザインに国内外で長年採用され実績のあるアボットのMULTI-LINK (マルチリンク)パターンを持つ、本邦初のコバルトクロム合金製次世代PTAステントシステムです。 コバルトクロムはステンレススチールに比べ耐久性が高く、視認性にも優れています※1。このような特性から、Omnilink Eliteは、血管への損傷を軽減するようステントの厚みは薄く設計され、さらに蛇行した腸骨動脈に対しても適合できるよう柔軟性を高めた※2ステントデザインが特徴のステントシステムです。また、X線透視下において容易にステントの位置を確認することができ、拡張後もショートニング率が低いステントデザイン※2であるため、長期治療成績に影響を与え得る正確なステント留置の実現をサポートすることが期待されています。

アボット バスキュラー ジャパン代表取締役社長のマシュー・シュミットは次のように述べています。「本年2月初旬に承認された自己拡張型ステントシステムであるAbsolute Pro®の本邦への導入に続き、バルーン拡張型であるOmnilink Elite の販売開始に至ったことで、末梢動脈疾患治療領域におけるアボットのポートフォリオがさらに拡充されました。今後も、日本の医師に革新的な血管内治療機器を提供し、末梢動脈疾患患者のQOLの向上に貢献していきたいと考えております。」

参考資料

MOBILITY試験について

MOBILITY試験は、前向き、非無作為化、2群、多施設共同試験で、複雑病変を含む、間欠性跛行を伴う腸骨動脈疾患患者を対象に、アボットの自己拡張型ステントシステムであるAbsolute Pro とバルーン拡張型ステントシステムであるOmnilink Eliteの評価を行いました。本試験では、重度の石灰化病変や重度の末梢動脈疾患病変を除外せずに行われた試験であるため、実臨床での治療が反映された試験である点が大きな特徴です。 本試験は米国の48施設で実施され、151例の腸骨動脈疾患患者においてAbsolute Proが、153例の患者においてOmnilink Eliteが評価されました。主要評価項目は9ヶ月経過観察時点における主要有害事象の発生率 - あらゆる原因による死亡、心筋梗塞、臨床的に評価された標的病変再血行再建(TLR)、および治療側下肢切断 (大切断のみ)と定義 – とされ、9ヶ月経過観察時点での主要有害事象の発生率はAbsolute Pro群で6.1% 、Omnilink Elite群では5.4%で、この値は、文献で発表されている従来の腸骨動脈ステントを留置した際の9ヶ月経過観察時点における主要有害事象の発生率:19.5%に比べ有意に(p<0.0001)低い値でした。また、患者の歩行能力は、Absolute Pro、Omnilink Elite両群において大幅に改善されました。

末梢閉塞性動脈疾患(PAD)及び腸骨動脈疾患について

末梢閉塞性動脈疾患(PAD)は、手や足の末梢血管内に脂肪やプラークが蓄積し血管が狭くなる動脈硬化により発症し、日本では約400~600万人の患者が罹患していると推定されており※3、高齢化と共にその数は増加しています。PADは足で発症する場合が最も一般的ですが、頸部や、腕、腎臓、胃へ血液を送る血管が閉塞して発症する場合もあります。

一般的に腸骨動脈疾患としてよく知られている大動脈腸骨動脈閉塞性疾患(AIOD) は、腸骨動脈がプラークの蓄積により狭くなり、下肢の血流を低下させることにより発生します。腸骨動脈疾患はPADの一種です。PADは、心臓以外の動脈に動脈硬化が起こる疾患を指すのに対し、腸骨動脈疾患は、腹部中部にある大動脈から、骨盤を介して脚へと分岐する部分の動脈に起こる疾患を指します※4。腸骨動脈疾患は、腎動脈下腹部大動脈、総腸骨動脈、内腸骨動脈、外腸骨動脈のうち、これら主要な動脈の1つまたは複数の血管にプラークが蓄積し、血流が低下することにより引き起こされます。

Omnilink Elite® バスキュラーステントについて

Omnilink Eliteの日本での適応は、「腸骨動脈(総腸骨動脈・外腸骨動脈)における症候性アテローム性動脈硬化症の新規病変又は再狭窄病変を持つ患者の治療」です。Omnilink Eliteに関するさらなる情報は、http://www.abbottvascular.jp/omnilink-elite.htmlをご覧下さい。

販売名

Omnilink Elite バスキュラーステント

医療機器承認番号

22600BZX00078000

承認日

2014年2月28日

販売開始日

2014年4月1日

本邦における適応

「腸骨動脈(総腸骨動脈・外腸骨動脈)における症候性アテローム性動脈硬化症の新規病変又は再狭窄病変を持つ患者の治療」

ステントサイズ

ステント径 6.0mm - 10.0mm / ステント長 19mm、29mm、39mm / シャフト長 80cm、135cm

Absolute Pro® バスキュラーステントについて

Absolute Pro(販売名:AbsoluteProバスキュラーステント、医療機器承認番号:22600BZX00035000)の日本での適応は、「腸骨動脈(総腸骨動脈・外腸骨動脈)における症候性アテローム性動脈硬化症の新規病変又は再狭窄病変を持つ患者の治療」です。Absolute Proに関するさらなる情報は、http://www.abbottvascular.jp/absolute-pro.htmlをご覧下さい。

Omnilink EliteとAbsolute Proは、日本、米国、ヨーロッパ、中東、およびアジア太平洋諸国において市販されていますが、適応に関しては各国の適応をご確認ください。またバルーン拡張型ステントシステムであるOmnilink Eliteと、自己拡張型ステントシステムのAbsolute Proは、病変への留置方法の点において異なります。

アボットのMulti-Linkパターンについて

アボットのマルチリンクパターンを使ったステントは、柔軟性が高く、均一な血管壁のサポートと、長軸方向の強度をもたらしステントを安定させる「peak-to-valley (山・谷)」の構造から成るデザインが特徴です。狭心症などの冠動脈疾患の治療において高い実績のある MULTI-LINK 8®、XIENCE V®、XIENCE PRIME®、近年ではXIENCE Xpedition®に採用されており、1995年以来、全世界で1200万件以上の留置が行われています。,/p>

アボット バスキュラーについて

アボット バスキュラーは、薬剤溶出ステントを含む血管系疾患治療分野のリーダーとして市場を牽引する製品や業界をリードするパイプラインと共に世界規模で事業を展開しています。冠動脈治療、血管穿刺部止血(クローザー)、末梢血管治療、構造的心疾患治療のために多岐にわたる医療機器を提供しています。詳細については、www.abbottvascular.jp(日本) www.abbottvascular.com(グローバル)をご覧下さい。

アボットについて

アボット社は、広範囲のヘルスケアに基盤を置くグローバルヘルスケア企業であり、人々の生活を向上させるために製品や技術を開発しています。主要な事業内容は、科学的知見に基づいた診断薬・機器、医療機器、栄養剤そしてブランドジェネリック医薬品を提供しています。グループ総従業員数約69,000人を擁し、世界150カ国以上で営業活動を行っています。

アボット ジャパンについて

日本国内では、従業員約2,200人が医療用医薬品、栄養剤、医療機器、診断薬・機器そしてビジョンケア製品を含む医療品に関する製造、研究、開発、流通および販売とマーケティングに従事しています。東京、福井、千葉に主要拠点を置いています。

アボット社(www.abbott.com)、アボット ジャパン(www.abbott.co.jp)、ツイッター(@AbbottNews)も合わせてご参照ください。

 


※1 P. PONCIN et al, Stent Tubing: Understanding the Desired Attributes, Materials & Processes for Medical Devices Conference 2003

※2
自社測定データに基づきます※3 Diabetes Net. http://www.dm-net.co.jp/calendar/2013/019716.php※4 http://www.vascularweb.org/vascularhealth/Pages/aortoiliac-occlusive-disease.aspx